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【追悼】ヨハン・ヨハンソン(Johann Johannsson)

Johann Johannsson

Johann Johannsson ヨハン・ヨハンソン
September 19, 1969 - February 9, 2018

Biography

数々の受賞歴に輝く作曲家/ミュージシャン/プロデューサーのヨハン・ヨハンソンは、1969年アイスランド生まれ。電子音とクラシックのオーケストラ・サウンドを融合させたヨハンソンの音楽は、バロック、ミニマル、ドローン・ミュージック、エレクトロ・アコースティック・ミュージックなど、多様なジャンルの影響を受けている。映画音楽の分野では、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ボーダーライン』(15)の音楽で米国アカデミー賞作曲賞、BAFTA(英国アカデミー賞)作曲賞、放送映画批評家協会賞作曲賞にノミネート。また、スティーヴン・ホーキング博士の実話に基づくジェームズ・マーシュ監督『博士と彼女のセオリー』(14)の音楽は批評家に絶賛され、ゴールデン・グローブ最優秀作曲賞を受賞したほか、BAFTA作曲賞、グラミー賞サウンドトラック作曲賞、放送映画批評家協会賞作曲賞にノミネートされた。

 ヨハンソンは11歳より故郷レイキャヴィークでピアノとトロンボーンを学び始めるが、高校在学中、音楽を勉強として学ばせるレッスンに窮屈さを感じ、正規の音楽教育を放棄した。大学で文学と外国語を学んだ後、10年間にわたってインディーズ・バンドに楽曲を提供し、ギターのフィードバックを多用した音楽や、複雑なマルチレイヤーからなるサウンドスケープ作品を作曲。ヨハンソンは生楽器のデジタル処理を駆使しながら、生音と電子音を融合させ、個性的で斬新な音楽を生み出した。

 2002年、ソロ名義のデビュー・アルバム『Englaborn』をイギリスのTouchレーベルよりリリース。その音楽はサティ、バーナード・ハーマン、パーセル、ムーンドッグといったアーティストから、ミル・プラトー・レーベルやメゴ・レーベルの電子音楽まで、ヨハンソンが受けた影響の広さを伺わせた。その後リリースしたアルバムに、金管アンサンブル、電子ドローン、パーカッションのために書かれた『Virthulegu Forsetar』(04)、オーケストラのために書かれた『Fordlandia』(08)と『IBM 1401 – A User’s Manual』(06)――後者はIBMの先駆的汎用コンピューターが発する電磁波の発振音にインスパイアされたアルバム――などがある。2010年にはアメリカの実験映像作家ビル・モリソンとコンビを組み、北東イングランドの廃坑の歴史と遺産を叙情的かつ内省的に描いたドキュメンタリー映画『The Miner’s Hymns』を発表。ヨハンソンは同作の生演奏上映のために金管バンド、パイプオルガン、電子音を含むスコアを作曲し、サントラ盤もリリースされた。

 このほか、ヨハンソンはロウ・イエ監督『二重生活』(12)、ヤーノシュ・サース監督『悪童日記』(13)、マックス・ケストナー監督『Drømme i København (Dreams in Copenhagen)』(14)など、ハリウッド作品以外のワールドシネマやドキュメンタリー映画のサントラも手がけ、高い評価を得ている。2015年には、気の遠くなるようなスローテンポでサウスジョージア島と南極半島の荒涼たる光景を旅していく短編映画『End of Summer』で監督デビューを果たし、同作の印象的なサントラも作曲した。管弦楽、室内楽、舞台音楽の分野では、これまでにカナダ・ウィニペグ交響楽団、バング・オン・ア・キャン、シアター・オブ・ヴォイセズ、オスロ・ノルウェー・シアター、アイスランド国立劇場のために作曲をおこなっている。

 2006年12月、アパラット・オルガン・カルテットのメンバーとして初来日。2007年2月には札幌スノースケープモエレIIの公演で単独来日を果たし、さらに同年7月には<東京の夏>音楽祭2007でコンサート「ヨハン・ヨハンソンの世界」を開催した。

 2016年、6年ぶりとなるスタジオ録音アルバム『オルフェ』をリリースし、ドイツ・グラモフォン・レーベルよりデビューを果たす。

(Biography 訳および加筆:前島秀国)

掲載: 2018年02月13日 16:09