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『黛敏郎の雅楽 昭和天平楽』~47年ぶりの蘇演に導いた音楽評論家 片山杜秀氏のお話と共に初CD化!

黛敏郎の雅楽

初演から47年の歳月を経て舞台蘇演された黛敏郎《昭和天平楽》音源を、
蘇演実現に導いた音楽評論家 片山杜秀氏のお話と共に初CD化!

三島由紀夫原作のオペラ《金閣寺》や映画『天地創造』の音楽などを手がけ、TV番組『題名のない音楽会』の企画・司会を長年にわたりつとめたことでも知られる作曲家 黛敏郎。
戦後高度経済成長の繁栄の中で、享楽に身をゆだねる日本人の暮らしを形容する「昭和元禄」という言葉が盛んに飛び交っていた1960年代末。
国立劇場は、雅楽をより普及・活性化させるため、新たな雅楽作品を現代の作曲家に委嘱することを発案。最終的に作曲家 黛敏郎に新作雅楽が委嘱されることとなります。
また、この国立劇場の新作雅楽委嘱の取り組みは、その後も国内外の作曲家に行われ、武満徹 《秋庭歌一具》をはじめとする数々の雅楽作品が生まれる契機となりました。

黛は、平安時代以降に洗練された雅やかで上品な雅楽ではなく、平安以前の奈良時代に使われていた古楽器「大篳篥(おおひちりき)」「大箏(だいそう)」「雅琴(がきん)」などを編成に加え、中国大陸・ベトナム・朝鮮半島の音楽が生々しく混在し、エネルギーに溢れた奈良時代的雅楽を自身のイマジネーションによって現代に復活・創造するべく作品を完成させました。
1970年代における「昭和元禄」的な時代の中で刹那主義におちいり、生命力を失っていく現代人に対するアンチ・テーゼが込められたその新作雅楽のタイトルは―――《昭和天平楽》。
《昭和天平楽》は、1970年に初演され、後にLPレコードが発売されたものの、通常の雅楽では使用されない古楽器が必要なことなどから、その後再演されることはなく、LPレコードも発売から半世紀が経過し入手困難となっています。
そのような状況の中、初演から47年ぶりに「サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2017」で演奏された《昭和天平楽》音源を公益財団法人サントリー芸術財団より提供いただき、さらに「サマーフェスティバル2017」総合プロデューサーをつとめられた音楽評論家 片山杜秀氏による「作曲家 黛敏郎と昭和天平楽」についての語り下ろし音声を加えた特別盤として初のCD化を実現しました。

★日本を代表する音楽家・演奏団体による名演を収録
黛敏郎《昭和天平楽》蘇演の指揮をつとめたのは、日本音楽コンクール第1位、日本現代音楽協会作曲新人賞、芥川作曲賞、出光音楽賞、佐治敬三賞など数々の受賞歴を持つ、作曲家 伊左治直。
演奏は、雅楽の古典曲以外に廃絶曲の復曲や現代作品の演奏にも積極的に取り組む活動で、これまで中島健蔵音楽賞特別賞、芸術祭大賞などを受賞している雅楽演奏団体 伶楽舎。
日本を代表する音楽家・演奏団体による名演を収録した貴重盤です。

★音楽評論家 片山杜秀氏による「作曲家 黛敏郎と昭和天平楽」語り下ろし音声を特別収録
「サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2017」総合プロデューサーをつとめられ、黛敏郎《昭和天平楽》を47年ぶりに再演するという企画を立案されたのは、NHK-FM『クラシックの迷宮』パーソナリティとしてもおなじみの音楽評論家 片山杜秀氏。
本CDには《昭和天平楽》蘇演音源に加え、片山氏による語り下ろし音声「片山杜秀さんに訊く『作曲家 黛敏郎と昭和天平楽』」(訊き手:出口寛泰)を特別収録。
コロナ禍により、スタジオでの収録が出来ないことを受け、片山氏の御自宅にてお話を録音してくださるという、破格の御厚意によって実現した企画です。

★貴重音源をハイクオリティサウンドでCD化
公益財団法人サントリー芸術財団より提供された貴重な黛敏郎《昭和天平楽》蘇演音源を、より豊かな響きで記録するため、マスタリングをソニー・ミュージックスタジオのチーフエンジニア 鈴木浩二氏にお願いし、繊細かつエネルギッシュなハイクオリティサウンドでのCD化を実現しました。
(Salida)

【曲目】
● 昭和天平楽 (1970)
(1) I.序 音取・唐楽 [14:49]
(2) II.破 乱声・笙音取・林邑楽 [12:39]
(3) III.急 序吹・高麗楽 [9:36]

指揮:伊左治直 伶楽舎
録音:2017年9月4日 サントリーホール ブルーローズ
サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2017
「ザ・プロデューサーシリーズ 片山杜秀がひらく 日本再発見」
<主催>公益財団法人サントリー芸術財団
※ 〔音源提供:公益財団法人サントリー芸術財団〕

● 片山杜秀さんに訊く「作曲家 黛敏郎と昭和天平楽」(訊き手:出口寛泰)
(4)-(5) 「はじめに」 [0:54]
(6) 【作曲家 黛敏郎について】 [3:57]
(7) 「武満徹と黛敏郎」 [3:37]
(8) 「日本のドゥビュッシーと日本のストラヴィンスキー」 [4:38]
(9) 「興味・関心は同じだが、引き出してくるものが違う」 [5:41]
(10)【昭和天平楽と「1970年」について】 [2:23]
(11)「三島由紀夫と黛敏郎」 [3:34]
(12)「昭和天平楽と大阪万博・三島事件」 [6:46]
(13)「現代人へのアンチ・テーゼ」 [4:15]
(14)-(15)「おわりに」 [1:50]

録音:2021年5月


黛敏郎 (1929~1997)
1929年、神奈川県横浜市に生まれる。
1945年、東京音楽学校(現・東京藝術大学音楽学部)作曲科に入学。橋本國彦、池内友次郎、伊福部昭 等に師事する。その才能はすでに在学中から周囲に衝撃を与え、作曲科卒業作品《10楽器のためのディヴェルティメント》(1948)で戦後音楽界に輝かしいデビューを果たす。
1950年、松竹映画『帰郷』(監督:大庭秀雄)の音楽で第5回毎日映画コンクール音楽賞を受賞。また、同年作曲の《スフェノグラム》は、翌年のISCM国際現代音楽祭に入選し、作曲者に国際的名声を与えた。
1951年、フランス政府給費留学生としてパリ国立音楽院に留学。トニー・オーバン等のクラスに入るも、そのヨーロッパの伝統的技術を極めることに特化された指導に疑問を感じ、1年で帰国する。帰国後は、留学中に吸収した前衛的技法を用いた《ミュージック・コンクレートのための作品"X、Y、Z"》(1953)をはじめ、日本初の電子音楽《素数の比系列による正弦波の音楽》(1955)等、戦後最先端の手法を真っ先に取り入れた作曲を展開していく。
1953年、芥川也寸志、團伊玖磨と共に「3人の会」を結成し、同会演奏会で《饗宴》(1954)、《トーンプレロマス55》(1955)、《涅槃交響曲》(1958)、《曼荼羅交響曲》(1960)を発表。
1957年、諸井誠、柴田南雄、入野義朗らと共に吉田秀和を所長とする「20世紀音楽研究所」を設立。日本での「現代音楽祭」開催に尽力する。
1964年より、TV番組『題名のない音楽会』の企画・司会を約33年間に渡りつとめる。
1977年、東京藝術大学作曲科非常勤講師に招かれたことを契機に、以後、後進の指導にも携わるようになる。
1986年、紫綬褒章を受章。
生涯を通じ、管絃楽、バレエ音楽、カンタータ、オペラ、室内楽、器楽曲、合唱曲、歌曲そして映画音楽に至るまで幅広い分野の作品を発表した。
《涅槃交響曲》(1958)と《BUGAKU》(1962)で2度受賞した尾高賞をはじめ、4度受賞の毎日映画コンクール音楽賞 等、受賞多数。
1997年4月10日歿

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2021年07月22日 12:00