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インタビュー

Ken Yokoyama 『Sentimental Trash』

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東日本大震災を受けて制作された前作『Best Wishes』から約2年10ヶ月。日本のメロディックパンクの創始者であるKen Yokoyamaが、箱モノギターと出会い、自らの音楽のルーツを見つめ直して生まれた傑作ロックンロールアルバム『Sentimental Trash』がリリースされた。これまでの作品とはまた違った魅力を放つ、必聴の一枚。

ネガティブな批判まで覚悟した上で、信念を持って表現する彼は、やはり最高のパンクロックヒーローだと思う。

皆それぞれにを頭の中でイメージしながらCDを再生するのだろうが、今作はきっとほとんどの人がその想像をいきなり裏切られることになる。「これからソロでやっていくんだ」という意気込みを見せ、アコースティックの弾き語りからスタートした1stアルバムは別モノとして、バンドとライブの存在を前提に制作されてきた2nd以降において、Ken Yokoyamaのアルバムといえば、アッパーな高速チューンでスタートするというイメージが無意識のうちにファンの身体には染み込んでいることだろう。もちろん筆者も例外ではない。しかしなんと今作はそのイメージを裏切り、衝撃のミドルテンポチューンで幕を開けるのである。

 そしてKen Yokoyamaの作品史上、非常に新鮮なこのイントロは、見事に今作全体のスタイルを表している。つまりこのアルバムには、意表を突く新たなアプローチが盛り沢山なのだ。いわゆる音楽ジャンルで言うメロディックパンクという括りに縛られることのない、ザ・ロックンロールな曲の数々。ロカビリー、ブルース、スカなどまで取り込まれ、見事にKen Yokoyama色に昇華されている。そしてこれらはこれまでの作品からすると一見異端なように思われるのだが、彼の音楽のルーツの幅広さ、奥深さを知れば、至極納得がいくものなのである。Ken Yokoyamaと言えば!というほどイメージのあるESP(Navigator)のレスポールタイプのギターから距離を置き、ギブソンやグレッチの箱モノギターをメインに使い始めたということも大きく影響しているだろう。とにかく彼の、ギターとロックンロールに対する愛が溢れ出ている。

東日本大震災を受けて制作され、シリアスなメッセージを放った前作『Best Wishes』と比較すると、今作は純粋にギターや音楽を楽しんで制作された印象を受けるのだが、前作で震災後の心境をきちんと吐き出すということを行なったからこそ、今作の誕生にも繋がったのだろうと感じる。前作あっての今作、さらに今作によって前作の存在感もより増していくのではないだろうか。そして新境地の曲だけでなく、先行シングルのタイトル曲“I Won’t Turn Off My Radio”をはじめとし、これぞKen Yokoyama!という心の奥底までグッと突き刺さるメロディックパンクも収録されているのでご安心を。4曲目の“Maybe Maybe”など、<ザ・Ken Yokoyama>なメロディックが流れた時には、レスポールにガムテを貼って青春時代を過ごした筆者としては、正直少しホッとした部分もあったのだが(猛爆)、新境地の曲があってこそ、<ザ・Ken Yokoyama>な曲も今まで以上に際立つし、逆もまた見事に引き立てられており、アルバム全体のバランスが素晴らしく良いのだ。どちらの曲もじっくり聴き込んでもらいたい。筆者がレコ屋の人間であるということとは一切関係なく、CDで頭から最後まで通して聴いてもらいたい。そんな一枚だ。新境地の曲たちが今後どのようにライブで表現されていくのかも、本当に楽しみで仕方がない。



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ハイスタ時代から知られるDIY精神や、震災直後から継続している東北への復興支援活動、政治への疑問を投げかける言動など、彼のPUNXとしか言いようのない精神性に多くの人が憧れ、共感を抱くが、今作でも政治と下ネタを同列に描く彼の深いメッセージに、また心惹かれることだろう。また素直な感謝の気持ちなど、一見PUNXとしては避けそうなメッセージも敢えて含んでおり、先日の地上波でのパフォーマンスもそうだが、ネガティブな批判まで覚悟した上で、信念を持って表現する彼は、やはり最高のパンクロックヒーローだと強く思う

■Album……『Sentimental Trash』 now on sale!!

■Song list

01. Dream Of You

02. Boys Don't Cry

03. I Don't Care

04. Maybe Maybe

05. Da Da Da

06. Roll The Dice

07. One Last Time

08. Mama,Let Me Come Home

09. Yellow Trash Blues

10. I Won't Turn Off My Radio

11. A Beautiful Song

12. Pressure Drop


【I Won’t Turn Off My Radio】

【A Beautiful Song】

■Live

2015年9月25日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
2015年10月6日(火)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
2015年10月7日(水)石川県 金沢EIGHT HALL
2015年10月9日(金)新潟県 新潟LOTS
2015年10月10日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
2015年10月16日(金)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
2015年10月18日(日)青森県 Mag-Net
2015年10月19日(月)秋田県 Club SWINDLE
2015年10月21日(水)岩手県 Club Change WAVE
2015年10月22日(木)宮城県 Rensa
2015年10月24日(土)山形県 山形ミュージック昭和Session
2015年12月19日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall

2016年1月20日(水)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2016年1月21日(木)島根県 松江 AZTiC canova
2016年1月23日(土)熊本県 熊本B.9 V1
2016年1月24日(日)鹿児島県 CAPARVO HALL
2016年1月26日(火)長崎県 DRUM Be-7
2016年1月27日(水)福岡県 DRUM LOGOS
2016年1月29日(金)愛媛県 WstudioRED
2016年1月30日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年2月10日(水)静岡県 SOUND SHOWER ark
2016年2月11日(木・祝)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2016年2月13日(土)大阪府 なんばHatch
2016年2月14日(日)愛知県 DIAMOND HALL

■Live…DEAD AT BUDOKAN RETURNS」

2016年3月10日(木)東京都 日本武道館

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記事内容:TOWER+ 2015/9/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2015年09月10日 00:00

ソース: 2015/9/10

TEXT: 小野寺 慶祐