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〈藤井フミヤ プレミアム・シンフォニック・コンサート2014〉レポート

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公開
2014/05/16   10:42
テキスト
text : 東端哲也




クラシックとポップスの幸福な出会い、特別な夜

2012年より、日本の名門オーケストラとポップス系歌手とのコラボ・コンサートを各地の音楽専用ホールで展開し人気を呼んでいる〈billboard classics〉。これまで女性アーティストばかりだった同企画に今年、J-POPシーンから男性ヴォーカリストの雄が登場した。

奇しくも英国では、80年代にワム!で一世を風靡し、その後ソロでも世界的ヒットをとばしたジョージ・マイケルが、自身の曲やスタンダードナンバーをオーケストラと一緒に欧州の劇場(※パリのオペラ座など)で披露するツアーを成功させ、その成果を6枚目のソロ・アルバム『SYMPHONICA』としてリリースし、好調なセールスを記録中。マイケルより1歳だけ年上の藤井フミヤも、かつてチェッカーズで大ブレイクし、90年代以降はソロでもミリオンヒットを世に送り出すなど、同じような流れで息の長い活躍を続けており、そんな2人のスーパー・スターが、今や揃ってクラシックと連携し、音楽的領域を広げつつあるのが興味深い。

さて本ツアーは4/30にクラシックの殿堂・東京文化会館からスタート。当日会場はやはり女性ファンの比率が高く、客席はいつになく華やかな雰囲気を醸し出していた。

前半はいきなりソロ時代最大のヒット曲で名バラードの《TRUE LOVE》に始まり、《君が僕を想う夜》や《地上にない場所》など、しっとりと熱い楽曲たちのオンパレード。MCではフルオーケストラをバックに唄う緊張と高揚感を素直に口にしながら、楽曲ごとにピアノやハープなどのソロ演奏を巧みに起用しつつ、言葉のひとつひとつを明瞭にラヴ・ソングの世界を紡ぎ出していく。特に〈大切な人へ〉での伸びやかなヴォーカルが圧巻で、親密な空気に包まれ一体化した会場は、来日オペラ公演の時とは別の空間のように、ステージとの距離がごくごく近くに感じられる程だった。

休憩を挟み、ドヴォルザーク:交響曲第8番第3楽章で幕開けした後半も、ロングヒットシングル曲《Another Orion》でしっとりとしたスタートを切るが、《トワイライト》の間奏部分ではステージ上でくるくると自然に踊り出すなど、次第にリラックスした様子を見せ始め、《わらの犬》に続くアップテンポな《愚か者の詩》では自らブルースハープの演奏も披露。《なんかいいこと》では客席から手拍子も沸き上がりノリノリに。MCでは指揮の山下一史を交えて楽しいトークも繰り広げ、ラストの《Go the Distance》で会場の興奮は最高潮に! 終演後、ステージから去る日本フィルの団員の最後のひとりにまで惜しみない拍手を送る聴衆の姿に、同企画の圧倒的な成功を確信した夜だった。





東京公演後は、横浜、福岡公演を開催。今後、5月18日名古屋、そして、6月4日5日西宮最終公演へと続く。公演詳細は、http://www.billboard-cc.com/classics/