「淡い記憶ルフィと赤髪の娘ウタ」
麦わらの一味が航海中、ふとトーンダイヤルから一曲の歌が聞こえてくる。それは世界的な歌姫、ウタによるものだった。時をさかのぼること10数年。フーシャ村にいたルフィは村の仕事には興味を持てず、毎日野山を駆け回っていた。そんなある日、シャンクス率いる赤髪海賊団がフーシャ村にやってくる。その中には、赤髪海賊団の音楽家であるウタの姿もあった。ルフィは自由を謳歌している海賊たちに惹かれるようになり、入団を申し込む。しかしシャンクスには受け流されてばかりだった。反発し合う二人は、ことあるごとに対決をする。「身長対決」から「パンチ対決」までさまざまな戦いをするが、ルフィはどれも勝つことが出来ない。対決に疲れて休んでいると、二人の前にヒグマの手下の男たちが現れる。怪しげな男たちを、ルフィとウタは協力してやっつけた。最初はいがみ合ってばかりだった二人も、いつしかお互いを認め合うようになる。フーシャ村の案内を終え、そろそろ酒場に戻ろうというところで、ルフィはウタをどこかへ連れて行く。その先でウタが目にしたのは、沈みかけた夕陽で海がオレンジ色に染まった素晴らしい景色だった。その景色に、ウタはうっとりと見とれるのだった。

「新時代の誓い! ルフィとウタ」
10数年前のマキノの酒場。ウタとシャンクスが話している。ルフィのめちゃくちゃな行動の数々にウタが怒っていると、そこへルフィが駆け込んできた。ルフィがいつものようにシャンクスに船に乗せてくれとお願いを始めると即座に止めに入るウタ。そのまま言い合いをしながら、ふたりは外へ遊びに行く。海に来たルフィとウタは競い合って小舟を漕ぎだすとそこで見かけたのは巨大な怪物、近海の主。大慌てで港へと逃げてきたふたりはまたもケンカを始めるが、お互いの夢と野望を語り出す。笑顔を浮かべ、大笑いで話す二人は「作ろう、新時代!」と約束する。赤髪海賊団が航海へと繰り出す日、ウタは船の甲板から、小さくなっていくフーシャ村をいつまでも笑顔で見つめていた。
それから更に時が経ち、世界中に不穏な噂が流れ始める。赤髪海賊団の航海の目的地、エレジアの住民が全滅したと。航海を終え、再びフーシャ村へと戻ってきた赤髪海賊団。ルフィはウタの姿を探すが、見当たらない…。ウタの居場所を訊いても答えてもらえず、怒ったルフィはシャンクスに絶交宣言をする。その後、山賊・ヒグマの手下たちに襲われたルフィはベックマンに助けられ、自分が強くなると決意し、シャンクスとの絶交宣言を終えた。そして現在。サニー号の甲板で歌姫がライブをすると盛り上がっているウソップとチョッパー。ふたりの熱烈なお願いを聞き入れ、進路をエレジアへと向けるルフィ。一方エレジアでは、大人になったウタが不穏な気配を纏いライブ会場へと向かって歩いている。そしてレッドフォース号の甲板では、シャンクスが普段の彼からは想像もつかないような、異様な光を湛えた目で海を睨んでいるのだった。