Pleasure & Treasure完全ディスコグラフィー 1988~1998年

ALL TEXT BY タワーレコード ブラザー代表

1988

アルバム

B'z

B'z

1988年

デビュー・アルバムらしく、ダンス・ミュージックとハードロックのどちらへ舵を切るか、先ずは0地点を模索するようなアルバム。特に①はそれを指し示すように、後によりダンスに、よりハードにとそれぞれ枝葉を伸ばすことになる。他にも、翌年更にダンス・チューンへとシフトする⑧や、本作中最もTM NETWORKへのリスペクトを感じる⑦と、今演奏すると“Logic”ばりのヘヴィ・ナンバーになりそうな⑨は象徴的。また長いキャリアの中にあっても唯一外部ライターの作詞による⑤、同じく唯一外部の作曲家による⑥は本作の聴き所のひとつ。シングルは①③。ラジオで5曲掛けるなら②⑧③⑤①。

シングル

だからその手を離して

だからその手を離して

1988年

デビュー・シングル。元々は“Half Tone Lady”がシングル候補でしたが、①が完成した為こちらが選ばれたという経緯も。とある男子が好きな女子に“GIMME YOUR LOVE -不屈のLOVE DRIVER-”を贈ったら女子に①を返されたという都市伝説もあります。信じるか信じないかはあなた次第。②は意中の女性が気になって仕方ない男の情熱ナンバー。この後女性がどう応えたのか気になります。

松本孝弘

Thousand Wave

Thousand Wave

1988年

B'zとしてデビューする4ヶ月前にリリースされた初ソロ・アルバム。既発曲の再録②を始め、ハードロック、ジャズ、フュージョン、バラードなど、これまでのキャリアを総括するバラエティに富んだインストゥルメンタル作品になっている。③はチック・コリア、⑥は小室哲哉氏、⑨はデイヴ・ブルーベックのそれぞれカヴァー。ラジオで5曲掛けるなら⑩②④⑨⑦。

1989

アルバム

OFF THE LOCK

OFF THE LOCK

1989年

セカンド・アルバム。基本は前作の延長線上にあるものの、ギターとキーボードの溌溂としたサウンドが全体を覆い、特にポップなナンバーでの煌めきは重要なポイント。取り分け今でもLIVE-GYMでよく演奏される⑧は初期屈指のキラー・チューンであるし、他にも「早く追い掛けなきゃ(誰を)」って気にさせるスピード・ナンバー②、バンドマンのアンセム⑤、ねっとりとエロい⑦など、初期のLIVEで欠かせない楽曲揃い。また⑨のギター・ソロに松本さんの初ソロ作『Thousand Wave』より“99”が挟まれているのも聴き所。シングルは①④。ラジオで5曲掛けるなら⑧⑥③⑨⑤。

シングル

君の中で踊りたい

君の中で踊りたい

1989年

2ndシングル。①は“だからその手を離して”の延長上にありつつも、よりスピード感が増してダイナミックになった印象。Aメロをバッチシ歌えたら結構達成感あります。②も軽やかなダンス・ナンバーで、かつキャッチーで純度の高いポップ・チューンへと昇華しています。“Pleasure'91”TOURでのステップは必見ですので、『JUST ANOTHER LIFE』を未見の方は是非!

ミニ・アルバム

BAD COMMUNICATION

BAD COMMUNICATION

1989年

デビューの翌年にリリースされた初のミニ・アルバム。後に様々なヴァージョン違いが発表される代表曲の1つ“BAD COMMUNICATION”のオリジナルはここに収録。②は“君を今抱きたい”、③は“だからその手を離して”のそれぞれ英語ヴァージョンだが、特に②は淡々と、しかしゆっくりと熱を帯びる秀逸なアレンジで、ただの英語ヴァージョンに終わらないセンスも聴き所。

1990

アルバム

BREAK THROUGH

BREAK THROUGH

1990年

サード・アルバム。ファーストとセカンドで確かめた0地点からいよいよ大きく飛翔、「デジタル・ビートとヒューマン・ヴォイスの融合」というコンセプトが最も研ぎ澄まされた1枚。全体的にフックのあるリズムとグッド・メロディが耳を引くが、特に⑪は個人的にもアンケート投票で毎回選んでしまう名曲。他にも20代前半くらいの頃の気持ちを代弁してくれる③④、歌手ならではのシチュエーションと泣きに酔える⑤、愛嬌いっぱいの⑦、失恋時のリピート率600%(私比)の⑨、「PURPLE HAZE!」と歌詞にも出て来るジミヘン・オマージュ⑩など聴き所満載。シングルは①⑥。ラジオで5曲掛けるなら③⑦⑨⑤⑪。

RISKY

RISKY

1990年

4作目。前作で飛翔した翼が次に目指したのはニューヨークとロンドンだった。イメージは『FILM RISKY』で確かめて頂きたいが、サウンドはこれまでで最もぶっとく、大人の色気を放つ作品となった。取り分け④をシングルとアルバムで聴き比べると違いは明白。その他、今でもLIVE-GYMで演奏される②や、高テンションで駆け抜ける③、スウィートな⑥、セクシーな⑦、切ない⑧、いちタクシー運転手の哀愁が映画のように目に浮かぶ⑨、電話での話し声とサビメロの対比が耳を引く⑩と、あっと言う間に聴けてしまう全10曲。シングルは④⑤。ラジオで5曲掛けるなら③②⑨⑦⑥。

シングル

LADY-GO-ROUND

LADY-GO-ROUND

1990年

3rdシングル。①はとにかくメロディがフックに富み、歌詞に和歌も飛び出すなど遊び心と余裕とが垣間見え、一皮むけた感じが伝わって来ます。②も非常にキャッチーで、女性への束縛と未練で「カッコ付けたいがカッコ付かないオトコ」を描き切っていて耳が痛いです。①②共に英語版が作られていますが、特に『Mars』収録ヴァージョンの②はハード&煌びやかでお薦めです。

BE THERE

BE THERE

1990年

4thシングル。①はイントロのインパクト、サビのフック、メロディへの歌詞のハマり方など、後にも先にも比較対象が見付からない個性を放つ1曲。②は個人的に「LIVE-GYM後半に聴きたい曲ベスト10」に常にランクインしているのですが、未だ叶わず…。歌詞も愛嬌あるし皆で合唱出来るしで、いつか実現すると嬉しいです。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

太陽のKomachi Angel

太陽のKomachi Angel

1990年

5thシングル。①は“ultra soul”ばりにインパクトある曲名ですよね。作詞ノートで「カルメン」が強調されていたのも印象的でした。ギター・ソロはLIVEでは口でユニゾンで歌っちゃうことも。②は打ち込みによるリズムと哀愁のメロディでじんわり浸れるバラード・ナンバーで、カラオケで歌うと結構自分に酔えます。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

Easy Come, Easy Go!

Easy Come, Easy Go!

1990年

6thシングル。①はメロディがキャッチーだし歌詞もスーッと入って来るし「ナナナナ~ナ♪」で合唱出来るしでとてもLIVE映えするので、時々は演って欲しいです(切実)。 ②はグラマラスなリズムと色気のある歌詞とサウンドで、このまま『RISKY』に入っていてもおかしくないナンバーですが、オリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。LIVEも1993年の渚園で飛び出して以来ご無沙汰です。

愛しい人よGood Night...

愛しい人よGood Night...

1990年

7thシングル。①はシングルA面としては初めてのバラードという意味でも記念すべき1曲。勿論、『RISKY』でも聴けるこのオリジナル・ヴァージョンが最上ではあるのですが、1992年の“TIME”TOURでの歌唱も必聴。②は『OFF THE LOCK』収録曲の再録で、『FILM RISKY』のクリップはいつ観ても笑顔になれるので未見の人は是非。今こそアンコールとかでこれを演って欲しい。

ミニ・アルバム

WICKED BEAT

WICKED BEAT

1990年

『BAD COMMUNICATION』の方向性を更に推し進め、曲間も繋ぐことによりノン・ストップとし、ひたすらダンス・ミュージック道を突き進んだ1枚。①は“君の中で踊りたい”、②は“太陽のKomachi Angel”、③は“BAD COMMUNICATION”、④は“LADY-GO-ROUND”のそれぞれ英語ヴァージョンで、初ベストの金盤に収録されているのは③のショート版。

映像

FILM RISKY

FILM RISKY

1990年

いわゆるプロモーション・ビデオの寄せ集めでは無く、アルバム『RISKY』の雰囲気や魅力を視覚でも楽しめる作品になっている。モーレツな腰振りやダンスの練習、自転車に乗っているシーン、薔薇をもいで千切るところなど印象的な場面は多いが、特に出店のおじさんや消防士さんなど色んな人達による「Hold on!」で笑顔になれる⑦がお薦め。

1991

アルバム

IN THE LIFE

IN THE LIFE

1991年

5作目。個人的にも、父が本作を買ってくれたことがファンになる切っ掛けだったこともあり、大変思い入れのある1枚。今でもLIVEでよく飛び出すポップな①、山下達郎氏を意識したと言う大人ムード②、ファンキーでハードかつ猥雑な③、アメリカン・ハードロックに接近した壮大な哀愁バラード④、僕がやったら速攻で捕まる⑤、LIVEではエンディングに“Love Is Blue”が足される切ないラヴ・ソング⑥、当時のLIVEでのオープニングが超絶カッコイイ⑦、隠れ名曲⑧、気の置けない仲間とキャンプ・ファイヤーで合唱したい⑨、頭にコーラスが足されたシングル曲⑩と捨て曲皆無。ラジオで5曲掛けるなら⑤②⑥⑨④。

シングル

LADY NAVIGATION

LADY NAVIGATION

1991年

8thシングル。①はタイトル通り、自立した女性達に捧げる讃歌。同じ地図は見ないというあたりが稲葉さんらしい。別ヴァージョンはこれまでに2つ作られているが、特に『The 7th Blues』に収録ののったりした渋いアレンジは当時とても驚かされたし、B'zのそういう所が好きだ。②はカップリングでありながら人気ツアーの名称にもなっている代表曲であり、歌詞が都度更新されることでも有名。

ALONE

ALONE

1991年

9thシングル。①はアメリカン・ハードロック好きにはたまらない壮大なアレンジとメロディが胸を打つ名バラードで、LIVEではアクセル・ローズを思わせるピアノ弾き語りスタイルも披露。『IN THE LIFE』収録時には冒頭にコーラスが追加されました。②は坪倉唯子氏に提供した楽曲のセルフ・カヴァーで、2017年に突然LIVEに引っ張り出してファンを驚かせた。

ミニ・アルバム

Mars

Mars

1991年

①はKIX-Sの安宅美春氏に提供した曲の歌入りヴァージョンで、『B'z The “Mixture”』で再録されたりと、今でも息の長い人気曲。③は“LOVING ALL NIGHT”の、④は“LOVE & CHAIN”の、⑤は“LADY NAVIGATION”のそれぞれ英語ヴァージョンを収めている点はこれまでと同様であるが、本作ではより激しくロックなアプローチが取られているのが特徴。

映像

JUST ANOTHER LIFE

JUST ANOTHER LIFE

1991年

"Pleasure'91"TOURの模様を収めた初のライヴ・ビデオ。前半はオフ・ステージの模様が挟まれ、楽曲が途切れ途切れなのがちょっと残念だが、④のキーボード、⑤のラストの合唱、⑥の並んだステップ、⑧のイントロのダンス、⑨のボックス・ステップ、⑪⑫の激しいACTION、「歌えるかーい!」からの⑬など、今とはまた違うパフォーマンスの全てが眩しい。

松本孝弘

'88〜Love Story

'88〜Love Story

1991年

初のソロ・シングル。①は単音で歌われる切ないAメロ、泣きのトーンが炸裂するBメロ~サビメロと、松本さんの神髄を心行くまで味わえるバラード。②もふんだんにGUITARが泣いているバラードですが、①よりもエロティック。何処とは言いませんが、大黒摩季氏の声も必聴。アルバム『Wanna Go Home』収録分と少しヴァージョンが異なりますので、聴き比べも推奨です。

1992

アルバム

RUN

RUN

1992年

6作目。シングル『ZERO』発表時に「原点=ハードロックに戻った」と語っていたが、その全てを凝縮させた1枚。今でもLIVEでド定番な②④他、ふたりの愛の炎が周辺まで焼き尽くしそうな③、“Magnolia”“ALL-OUT ATTACK”好きにお薦めの疾走チューン⑤、思わず身体が反応する⑥、メロディへの歌詞のハマり具合が超絶気持ちいい⑦、卒業や友との別れの季節に聴きたい⑧、切ない男のバラード⑨、じんわり幸せなムードに微笑む⑩など捨て曲皆無。同年のシングル曲“BLOWIN'”“TIME”“恋心 (KOI-GOKORO)”が収められなかったのも印象的でした。ラジオで5曲掛けるなら⑦⑥⑨⑧④。

シングル

BLOWIN'

BLOWIN'

1992年

10thシングル。'70年代ロック好きはニヤリとさせられるイントロに導かれ、打ち込みとアコギが絡み合う斬新なアレンジが独特のスピード感を生み疾走する①、繊細なイントロから一変、溢れ出す怒涛のような哀愁メロディと歌詞に男泣き必至の②と、いずれも超が付く代表曲であるが、オリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

ZERO

ZERO

1992年

11thシングル。原点=ハードロックに回帰した①は、現在に至るハードロック・アクトとしてのB'zの正に出発地点であると同時に、デビュー時とは一皮も二皮もムケて見せた強力な1曲。ギター・ソロ後の挑発的なラップも印象的。「松本に相談しようか」など歌詞が可愛く、LIVEでは振り付けも楽しい②も超が付く人気曲ですが、こちらもオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

ミニ・アルバム

FRIENDS

FRIENDS

1992年

今でも冬になると掛かる定番曲“いつかのメリークリスマス”のオリジナルはここに収録。美しいテーマ曲①で幕が開けた後は、インタールードを挟みながら時間と景色が移り変わり、恋人達の関係にも変化が訪れるある種のコンセプト・アルバムであり、想像力をかき立てるジャケットも合わせて素敵なパッケージ作品になっている。特に⑤は隠れ名曲中の隠れ名曲であり、ファン投票でも根強い人気を誇っている。

ベスト・アルバム他

B'z TV Style SONGLESS VERSION

B'z TV Style SONGLESS VERSION

1992年

いわゆるカラオケ・ヴァージョンを集めたアルバム。ヴォーカル・レッスン等で練習したい曲を持って行かなきゃいけない時にとても重宝した人も多いのではないでしょうか(私だ)。 選曲にも要注目で、シングル曲や⑤は判るとしても、④や⑥は今見るとても意外だと思いませんか? あと、シングルでは“LADY-GO-ROUND”だけ何故か選ばれていません。

松本孝弘

#1090 〜Thousand Dreams〜

#1090 〜Thousand Dreams〜

1992年

セカンド・シングル。①は長らくMステのオープニングとして使用されていた為、「曲名は知らないけどこの曲は知ってる」という人も多いのでは。後にバラード・ヴァージョンとしてリメイクもされている。②は①にも負けず劣らずのハイテンションなナンバーで、アルバム『Wanna Go Home』には大きくヴァージョン・チェンジした“Life II”として収められた。

Wanna Go Home

Wanna Go Home

1992年

セカンド・アルバム。デビュー前の集大成であった『Thousand Wave』とは異なり、B'zからのフィードバックが確かに息衝いている。またかつて演奏していた曲をブラッシュ・アップして収録しているのも本作の特徴で、取り分け⑤⑪はうるさくてゴメンねBAND時代のテイクと聴き比べると面白い。ラジオで5曲掛けるなら⑨⑪⑤①⑩。

1993

シングル

愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない

愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない

1993年

12thシングル。長い曲名も話題となった①は、パーンと突き抜けたアレンジ、キャッチーなメロディと、それに乗る音符に叩き付けるような絶妙な歌のハマり具合など、大ヒットしたのも納得の完成度。②もいわゆる隠れ名曲で、哀愁のメロディと切ない男の心情が綴られた詞がたまらない。これまた①②共にオリジナル・スタジオ・アルバム未収録。

裸足の女神

裸足の女神

1993年

13thシングル。①は、これを名曲と呼べない人とは仲良くなれなさそうなレベルの名曲。シンプルなメロディなのに、サビの突き抜け感と歌唱がたまらない。シェーン・ガラースもアルバム『Primer』でカヴァーしていますので、未聴の方は是非。②は快活でポップなロック・チューンで、これも詞のハマり具合が気持ちイイ。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

映像

LIVE RIPPER

LIVE RIPPER

1993年

渚園にて行われたPleasure'93 "JAP THE RIPPER"の模様を収めたライヴ・ビデオ。音が散り、ドラムもエコーが強く感じるが、野外ならではのパワフルでエネルギッシュなプレイとパフォーマンスが堪能出来る1本。個人的には『The 7th Blues』へと繋がる②⑥と、特に⑦での神懸りなヴォーカルが◎。⑭もCD化されるまではカセットに録って繰り返し聴いたものです。

1994

アルバム

The 7th Blues

The 7th Blues

1994年

7作目。B'z史上初であり、また目下唯一の2枚組アルバム。個人的にフェイバリット作品を挙げるなら本作となる。当時のインタビューでも、「ロック好きの遊び心を随所に散りばめたので楽しんでください」といったことを語っていたが、正にロックが好きなら、特にハードロックが好きなら、本作ほど栄養たっぷりのメニューは後にも先にも無い。先行シングルがDisc 2①のみと潔過ぎる点もポイント高し。土煙、ブルーズ、ビッグでサウンドも良好なドラムス、他者との壁の内外で揺れ動く歌詞、男泣きメロディ。これらのキーワードに複数引っ掛かったなら是非。ラジオで5曲掛けるなら…。ごめんなさい、選べないです。

シングル

Don't Leave Me

Don't Leave Me

1994年

14thシングル。ド迫力サウンドに乗り、傷心の痛みと苦しみを奥底から叫んで見せる①は、正に『The 7th Blues』を代表するに相応しい1曲で、CDでは聴けないクライマックスの「アーキャキャキャキャ」シャウトはMステ出演時にはもう完成していた。②はダイナミックなアレンジと不敵な歌唱にシビれるファンキーなハードロックで、『THE CIRCLE』のツアーで突然引っ張り出しファンを驚かせた。

MOTEL

MOTEL

1994年

15thシングル。鍛え上げられたタイトなリズム&ブルース、グルーヴ、コーラスと、『The 7th Blues』でやりたかったことの完成形がここにあると言って良いと思います。牢屋で座り込んで歌うPVも激渋カッコイイ。②はメロディこそキャッチーですが、互いに心から憎い訳ではないのに何故か傷付け合ってしまうカップルの哀しい末路がヒリヒリ伝わる。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバム未収録。

1995

アルバム

LOOSE

LOOSE

1995年

8作目。まるで「ふたりであること」に回帰したようなフレッシュさが眩しい。内容はB'z史上最もバラエティ豊かと言って良く、シングルも③⑦⑧と群を抜いて豪華。アルバム曲もテレンス・トレント・ダービーばりの強烈なシャウト①で幕を開けた後は、社会に出る直前のあの追い立てられるような気持ちに共感する②、目前に景色が浮かぶような④、アタックの強いリズム・ギターが耳を引く1989年代表曲の新アレンジ⑤、シンプルかつピュアなメロディが胸を打つバラード⑥、ハードでゴージャスな⑨、独特の感性と響きがクセになる⑩、訳アリな⑪、前作っぽい渋さと男臭さを放つ⑫⑬まで、一切隙無し。ラジオで5曲掛けるなら②⑩④⑥⑬。

シングル

ねがい

ねがい

1995年

16thシングル。髪も切ってサッパリと挑んだ①はサウンドもフレッシュなイメージを打ち出した充実作。歌唱にそろそろ余裕が見えて来ているが、まだまだ野犬のような攻撃性が前面に出ている絶妙バランス。アルバム『LOOSE』には直前のツアーで披露されていたアレンジで収録。②も“hole in my heart”同様、キャッチーでダンサブルだが皮肉の効いた男女の物語。

love me, I love you

love me, I love you

1995年

17thシングル。①は“ねがい”で打ち出したフレッシュさを更にプッシュしたようなポップ・チューンですが、ドラムは意外とヘヴィ。“ultra soul”や“愛のバクダン”へと繋がるメッセージ・ソングの、これが始まりだったとも言えそうです。②は社会に出て数年の少し悶々としている時期に聴いたら「俺の歌や…」ってなるヤバい曲。まだ微かに『The 7th Blues』の匂いがこびり付いている感じも◎。

LOVE PHANTOM

LOVE PHANTOM

1995年

18thシングル。①は元々は“BUZZ!!”TOURで披露された新曲で、1995年の新生B'zを強烈に印象付けた。「稲葉じゃなくていいよね」とまで言わしめた迫真のドラキュラ姿もPVで要チェック。②はヘヴィなドラム、ギター&キーボードのソロ、圧巻のシャウトと、B'z流ハードロックとして“Real Thing Shakes”に並び最強であると思います。Mステでの歌唱も神懸かっていました。

ベスト・アルバム他

B'z TV STYLE II Songless Version

B'z TV STYLE II Songless Version

1995年

カラオケ・ヴァージョンを集めたアルバムの第2弾。選曲はまさしく王道で、“BLOWIN'”から“LOVE PHANTOM”までのシングル曲は勿論、アルバムからのチョイスも違和感無し。如何せん歓声が入っちゃってるのが個人的には余計でしたが…。(レッスンで歌う時に何か恥ずかしい、みたいな) 。さて、「Ⅲ」は果たして出るんでしょうか。僕はまだ諦めていません。

1996

シングル

ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜/MOVE

ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜/MOVE

1996年

19thシングル。敢えて歌詞に蒼さを出した①は、ハードだけれど開放的で明るいリフ、サウンドとも相まって、爽やかさと力強さとを併せ持つ1曲に仕上がった。歌ってみると判りますが、意外としんどいです。両A面の②は一転、メタリックなリフが牽引するスピーディなハードロックで、クライマックスの圧巻シャウトを聴く為だけにチェックしても損はしない。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

Real Thing Shakes

Real Thing Shakes

1996年

20thシングル。1曲入りシングルは本作が初であり、全英語詞によるシングルも本作が初と、初めて尽くしのシングル。アンディ・ジョーンズによるプロデュースが奏功し、B'zが心底やりたいハードロック・サウンドがはっきりと刻み込まれている。同時に録られた“WILD ROAD”と“FUSHIDARA 100%”の英語ヴァージョンがお蔵入りになったままであり、いつか陽の目を見て欲しい。

ミニ・アルバム

FRIENDS Ⅱ

FRIENDS Ⅱ

1996年

『FRIENDS』の続編の形を取っているが、全体的にアダルトなムードで統一されているものの、一貫したテーマと言うよりはガラスのように繊細で美しい作品たちが集まったギフトといった趣。聴いているこちらまで凍えそうなウィスパー②、内なる叫びが痛切な③、泣きメロの極致⑤、ジャズやレゲエもセンス良く取り入れた⑥⑦など粒揃い。“MOVE”や“Real Thing Shakes”と同じ年とは思えないです。

映像

“BUZZ!!”

“BUZZ!!” THE MOVIE

1996年

Pleasure '95 "BUZZ!!"の模様を収めたライヴ・ビデオ。デニー・フォンハイザーによるドラムが映える①を皮切りに、これでもかと繰り出される名曲・代表曲の数々。パフォーマンスも脂がのり切っており、特に⑫のクライマックス、シャウトからの⑬スタートは圧巻。当時未発表だった⑩でのDIVE、ピアノ弾き語りによる⑮なども見所。エンディングで“消えない虹”の英語ヴァージョンも聴ける。

松本孝弘

Rock'n Roll Standard Club

Rock'n Roll Standard Club

1996年

ファン垂涎、松本さんのルーツを紐解けるカヴァー・アルバム。B'zのツアーでも披露されていたギター・ソロ曲③④⑧他、ハードロックや'70年代ロックから選曲されており、オリジナルと聴き比べると、これらのアーティスト、楽曲たちをいかにコピーして来たかが判る。LIVEではVan HalenやAC/DC、UFO、ジミ・ヘンドリックス、Aerosmith、オジー・オズボーン等の曲も演奏している。

Thousand Wave Plus

Thousand Wave Plus

1996年

1988年の初ソロ・アルバム『Thousand Wave』にリミックス&リマスターを施し、初ソロ・シングル2曲を追加したもの。オリジナルのミックスと聴き比べてみると判るが、ギターがよりソリッドに磨かれているのは勿論、特にドラムがクリアでスッキリしている点が特筆もの。小室哲哉氏とのソロ・バトルがまるで目前で行われているような⑦で是非確かめてみて欲しい。

1997

アルバム

SURVIVE

SURVIVE

1997年

9作目となる本作で、B'z流ハードロックの型をひとつ完成させたと思う。先ずは当時のツアーでもオープニングを飾った①のインパクトに尽きる。クライマックスの犬が吠えるようなシャウトにも心底ビリビリ来たものだ。そこからまさかの打ち込みビートが牽引する②へ続く流れや、後にも先にもこのタイプの歌唱は聴けない⑨にも驚かされたし、直前のツアーとは歌詞もアレンジも印象を変えた⑦も聴き所だった。幸せなカップルには⑤を、これからというふたりには⑧をお薦め。⑪は旅立ってしまった大切な人について想う時に“TINY DROPS”とセットで浸って欲しい。シングルは④⑥⑫。ラジオで5曲掛けるなら①⑨⑧⑪③。

シングル

FIREBALL

FIREBALL

1997年

21thシングル。①はヘヴィなリフ、うねるグルーヴ、無駄を排したシンプルなアレンジと構造、圧巻のシャウトと、僕の好きなB'zを凝縮している1曲であります。シングル表面のステッカーが3色あるのですが、結局全部買っちゃった程。当時のツアーのオープニングがまたシビれる程カッコ良くて…。②も鋭利なリフとシャウトが強烈な1曲で、これも『THE CIRCLE』のツアーで突然飛び出したのには驚かされました。

Calling

Calling

1997年

22thシングル。①は、元々は“FIREBALL”TOURでバラード部分だけ披露された新曲を「この声が聞こえるかい」パートで挟んで完成。当時のLIVEではハードなプレイと高濃度のシャウトで畳み掛けるクライマックスも楽しみでした。『RISKY』収録曲の1997年LIVEヴァージョン②も、当時の高いアレンジ・センスとバンドの充実ぶりをまざまざと見せ付ける名演で、シャウトも圧巻。

Liar! Liar!

Liar! Liar!

1997年

23thシングル。①はジャケットのカラーと雰囲気から『BREAK THROUGH』を想起させるが、同じように打ち込みビートに乗るポップな楽曲なのにこんなに違うのかと、パワー・アップを見せ付けられた1曲。②は①とは対照的にアダルトかつスパイシーで、一線を越えたのか、越えそうになって引き返したのか、ハラハラさせられっ放しで終わります。因みにラストのシャウトはMステの“スイマーよ!!”でも登場。

ベスト・アルバム他

Flash Back -B'z Early Special Titles-

Flash Back -B'z Early Special Titles-

1997年

初期3アルバムと『BAD COMMUNICATION』から編まれた非公式のコンピレーション。つくづく初期から良い曲を書いていると感心。因みに、もしも僕が編集の担当だったなら、DISC1⑩とDISC2⑫を入れるのではなく“Fake Lips”や“今では…今なら…今も…”を選んでいたのと、DISC2⑧のイントロを削ることはなかったと思います。

稲葉浩志

マグマ

マグマ

1997年

他アーティストの作品やコンピレーションへの参加はあったものの、純然たるソロ作品はこれが初めて。曲名通り冷ややかでニヒルな①を皮切りに、B'z好きには②⑩⑭を、繊細さに浸りたい向きには④⑥⑧⑮を、ヴォーカル・パフォーマンスの妙技に酔いたい人は③⑤⑨⑪をといった具合に、楽曲はバラエティに富み、また流れもスムーズで、全15曲がつるっと聴けてしまう。ラジオで5曲掛けるなら⑩②⑤④⑭。

1998

シングル

さまよえる蒼い弾丸

さまよえる蒼い弾丸

1998年

24thシングル。①はデビュー10周年を祝うに相応しい新曲で、初のベスト・アルバム=金盤でもビシッと締めて見せた。歌唱もとてもしなやか&艶やかで、個人的には一番好きな頃かも知れません。②の歌唱も素晴らしいですが、この曲はむしろギターに注目。B'z史上に於いてもここまでLIVE-GYMサウンドをスタジオ再現出来た録音は無いのではと。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

HOME

HOME

1998年

25thシングル。①は、恋人でも家族でも友達でも同僚でも何でも、流れゆく日々でつい忘れてしまいがちな大切なことを易しい言葉で思い出させてくれる1曲。銀盤のシークレット・トラックで聴けるアコースティック・ヴァージョンも必聴です。②は『不夜城』のサントラでも聴けるムーディな曲で、例えば桑田佳祐さんが得意としそうな独特の侘びとエロスを湛えています。①②共にオリジナル・スタジオ・アルバムには未収録。

ベスト・アルバム他

B'z The Best Pleasure

B'z The Best “Pleasure”

1998年

デビュー10周年にして初めて公式リリースされたベスト・アルバム(通称金盤)にして、最強の1枚。何が最強かって、選曲だけでなく曲順もきちんと練られているところ。まるでLIVE-GYMのように完璧な流れであり、僕も長くファンをやっていますが、これ以外の曲順を思い付きません。特に⑩⑪⑫の流れは当時本当に意外でしたし、今聴いても興奮します。

B'z The Best Treasure

B'z The Best “Treasure”

1998年

こちらも負けず劣らず完璧な選曲と曲順で楽しませてくれるベスト・アルバム(通称銀盤)。⑦は新録で、歌詞も勿論"BUZZ!!"TOURで披露された1995年ヴァージョンの続きが描かれている。同じく新録の⑭は、「Let's Run! Run for your life!」のフェードインがイントロに追加されている他、シークレット・トラックとして“HOME”のアコースティック・ヴァージョンも聴ける。

稲葉浩志

遠くまで

遠くまで

1998年

初ソロ・アルバム『マグマ』の翌年にリリースされた初ソロ・シングル。ストリングスも印象的な①は、歩き続けるということの難しさと大事さとを時に優しく、時に激しく、真っ直ぐに伝えてくれる。②は稲葉さんらしい皮肉と前向きなメッセージとがギュッと詰まったポップ・ソング。③は、例えば“Soul Station”の続きであるようにも聞こえる、繊細さと力強さとを併せ持った曲。

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